家を探す

ここにずっと住んでもいいと思っていた。

築30年以上、古いけど内装はリフォームされていて汚くはないし何より家賃が安い。

一度引越し先を探してみた時に不動産屋に「その広さでその家賃、引越さない方がいいですよ」と言われて以来(営業マンとは思えない正直さ)なんとなく住み続けていた。

 

でも最近夜中に真上から笑い声が聞こえる。穏やかな笑い声ではなく「ヒャーッ」とか「ヒーッ」とか言う甲高い笑い声。

一度聞こえるととしばらく続く。

それがだんだんとストレスになってきた。

寝なくちゃいけない夜なんかは最悪だった。

一言苦情を入れるのも手だとは思うけど、気まずいという点で住み心地が悪くなることには違いない。

そもそもこの家は家賃が安い。家賃が安いということは周りの環境が整わない一因であるとは思う。さらに家賃が安いであろう向かいの単身用アパートは同棲カップルの女性が大声で泣き叫んで通報したこともあったし、また別のカップルがご近所の人たちに見守られながら「警察呼んでください! 俺殺されます!」という喧嘩をしたこともあった。(こっちは茶番だったので通報しなかった)どちらも深夜だった。

もし小さい子供がいたなら即引っ越しを検討しただろう。

それでも20代の頃から10年住んでいるうちに住民も安定してゴミ出しルールが守れないカップルもいなくなり、騒がしかった上の階の子どもたちも成長してそれなりに安定した生活環境になっていた。

でも耐えられなくなる時がある。

 

そもそもこの家はドアが閉まらない。室内のドアはトイレと風呂以外は使わなかったので気がつかなかったけど、2箇所のドアが歪んていてしまらない。

空調をきかせたいとき、季節によっては差し込む光が明るすぎて目が覚めてしまう早朝、ドライヤーの音がうるさい時にドアがしまらない。

 

それに、数年前に水道管が老朽化して上の階から水漏れしたことがある。たぶん他にも気が付かないだけで老朽化している配管はあると思う。耐震に関しても不安だった。

 

夫は、職場の人が家を買うたび「家が欲しいな」「買いたいな」なんて口では言うけど本気で探す気はない。

私のやる気があるときにやってみるしかない。

 

家を探してみよう、と急に思い立った。

実際に家が手に入るかは別として記録として書いていく。